手掌多汗症 その1
手掌多汗症も胸腔鏡下胸部交感神経節切除術による治療が可能になっています。
最近の光学システムや周辺機器の開発により、内視鏡を用いる手術がめざましく進歩しています。
発汗中枢は視床下部にありますが、手掌多汗症は精神性発汗で大脳からの刺激が深く関与していると考えられます.この神経刺激経路が胸部交感神経を経由しているので同部でこの経路を遮断すれば手のひらの汗が止まります。
下記の如く様々な治療法がありますが、重症の方には効果がないことが多いのです。
皮膚科的治療:アルミニューム製剤等の止汗剤塗布イオントフォレーシス精神科、心療内科の治療:自律神経調整剤の内服、自律神経訓練法麻酔科、ペインクリニック:星状神経節ブロック、交感神経節ブロックなど手術効果はほぼ100%です。
■精神性発汗の治療法
- 精神分析法自由連想法を用いる。やり方は、まず週に何度かの面接で患者さんは寝椅子に横たわり、頭に浮かんだ事柄をすべて話す。治療者は、そのときの態度、内容、感情などを分析して患者さんに告げる。患者さんは、それに基づき幼児期の対人関係やコンプレックスを洞察し過去の記憶を思い出して、現在の感情や症状(汗)との関係について考えていく。
- ロゴセラピーと逆説志向「汗をかくまい」と思えば思うほど緊張して汗をかくなら、「どんどん汗をかいてやれ」と開き直ることで緊張を遠ざけようというもの。
- 系統的脱感作法と自律訓練法訓練により、意図的に自分の自律神経をコントロールする方法を身につける。一般的には病院で練習し、その後、自宅で朝夕1日2回ほど行う。
- 薬物療法精神安定剤、自律神経調整剤、中枢性の睡眠剤などを用いる。ただし、副作用を生じることがある。五味クリニックでは柴胡加竜骨蛎蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯など重鎮安心薬を用いて効果を上げている。また、抗コリン剤で発汗を抑えることができるが副作用の心配がある。
- 集団療法(エンカウンター)同じ悩みを持つ患者が集まり、様々な演習、ゲームなどを通じて自己主張訓練、自己表現訓練、他人と共感できる訓練、他人を理解する傾聴訓練や交流分析を行う。
- 神経ブロック星状神経ブロック、内視鏡下胸部交感神経節切除術がある。いずれも手術療法で後遺症などもあるので、きちんと医師と相談した上で慎重に決断すること。
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